Jump to ratings and reviews
Rate this book

銃・病原菌・鉄

Rate this book
銃と軍馬―― 16世紀にピサロ率いる168人のスペイン部隊が4万人に守られるインカ皇帝を戦闘の末に捕虜にできたのは、これらのためであった事実は知られている。なぜ、アメリカ先住民は銃という武器を発明できなかったのか?彼らが劣っていたからか?ならば、2つの人種の故郷が反対であったなら、アメリカ大陸からユーラシア大陸への侵攻というかたちになったのだろうか?
否、と著者は言う。そして、その理由を98年度ピューリッツァー賞に輝いた本書で、最後の氷河期が終わった1万3000年前からの人類史をひもときながら説明する。はるか昔、同じような条件でスタートしたはずの人間が、今では一部の人種が圧倒的優位を誇っているのはなぜか。著者の答えは、地形や動植物相を含めた「環境」だ。
たとえば、密林で狩猟・採集生活をしている人々は、そこで生きるための豊かな知恵をもっている。だが、これは外の世界では通用しない。他文明を征服できるような技術が発達する条件は定住生活にあるのだ。植物栽培や家畜の飼育で人口は増加し、余剰生産物が生まれる。その結果、役人や軍人、技術者といった専門職が発生し、情報を伝達するための文字も発達していく。つまり、ユーラシア大陸は栽培可能な植物、家畜化できる動物にもともと恵まれ、さらに、地形的にも、他文明の技術を取り入れて利用できる交易路も確保されていたというわけだ。また、家畜と接することで動物がもたらす伝染病に対する免疫力も発達していた。南北アメリカ、オーストラリア、アフリカと決定的に違っていたのは、まさにこれらの要因だった。本書のタイトルは、ヨーロッパ人が他民族と接触したときに「武器」になったものを表している。
著者は進化生物学者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部教授。ニューギニアを中心とする長年のフィールドワークでも知られている。地球上で人間の進む道がかくも異なったのはなぜか、という壮大な謎を、生物学、言語学などの豊富な知識を駆使して説き明かす本書には、ただただ圧倒される。(小林千枝子)

Tankobon Hardcover

1 person is currently reading
11 people want to read

About the author

Ratings & Reviews

What do you think?
Rate this book

Friends & Following

Create a free account to discover what your friends think of this book!

Community Reviews

5 stars
4 (50%)
4 stars
3 (37%)
3 stars
1 (12%)
2 stars
0 (0%)
1 star
0 (0%)
Displaying 1 of 1 review
Profile Image for Tadatsugu Shimazu.
3 reviews
October 12, 2007
 文明は南北より東西に拡大する――

 なぜなら気候の違いが少ないからだ。ふむふむなるほどねえ。こんな感じで現代に至る“人類史”の発展の違いを、気候などの環境の違いで説明しきろうとした野心的な作品。ヨーロッパとラテンアメリカの悲劇的な出会いに関する精緻な記述には、思わずうなずいてしまいかねない説得力がありました。

 ただ、記述分量が少ないアジア圏で限界が露呈しています。中国が歴史的に内向きな態度を取ってきたことや、戦国時代に銃器を著しく発達させた日本が江戸時代に背を向けたのは、多分に政策の結果ですからね(こう書くと、環境によって政策が決まったんだ!とか突っ込まれそうだけど、それに対する反論は、例えば「1421」を読んでみてどう思いますか?と聞くことにします)。

 とは言え、これだけマクロに人類史を解説してしまう筆者の力量には感心するばかり。冒頭に触れた文明の拡大に方角が影響する説も納得しやすいものがありました。ユーラシアを席巻したモンゴル帝国がベトナムやジャワで痛い目に遭ったことや、インドに勃興した様々な帝国が南北制服を果たし得なかったことなどから。
Displaying 1 of 1 review

Can't find what you're looking for?

Get help and learn more about the design.