大正〜昭和初期の小説家で、新感覚派の旗手として知られる横光利一の長篇小説。改造社より1950(昭和25)年に刊行。舞台は1936年、復活祭の近づく春寒のパリを、矢代と久慈が散策している。二人は未婚の青年で、同じ船で渡欧した仲間である。その船で知り合ったカソリック信者である千鶴子をちやほやしていたのは久慈であったのだが、次第に矢代と千鶴子が心通わせていき、矢代と久慈の微妙な恋のさやあてが始まる。そこに真紀子という女性も加わり、フランスで知り合った日本人同士の恋情や多くの議論を孕んだ交流が描かれている。