月午樹無影 月午にして 樹に影無く
一山唯白暁 一山 唯だ白暁
漆炬迎新人 漆炬 新人を迎え
幽壙蛍擾擾 幽壙 蛍 擾擾たる
「私は、人々の生活の中に入り込み、また出て行くのが好きなのです。一定の場所で一定の人間たちと生活するのに、退屈を覚えるのです。」
私たちもまたどんな世界にでも自由に入っていくことができ、自由に出てくることができる。出てこられることが保証されれば、どんなに苦痛に満ちた世界でもあらゆることが面白く感じられるものなのだ。私自身がは何者でもないが、何者にでもなれる。それは素晴らしく楽しいことだった。
この人生のことを僕はなにもおぼえてゐない。
それは、雨のせゐだ。
一滴、一滴が僕をねむらせ、
おぼえてゐないでいいといふ。
ー金子光晴「雨の唄」