taeko to hiromu juuni taeko mokuyokusu zouhoban: taekomokuyokusu

by hiromu

75歳の妙子が、湯気の中で“女”に還る──
沐浴とは、ただの入浴ではない。
それは、年齢も過去もすべてを脱ぎ捨て、男と交わるための“儀式”だった。

布越しの湿度。
背中に沿う掌。
交わした視線と、重ねたまなざし。

奥へ、さらに奥へ。
男は溶け、女は満ちていく。

浴衣のまま、声を殺しながらも、
女の奥は確かに“迎え入れ、閉じ込めた”。

これは、ふたりが一滴も残さず重なり合い、
最後に女がこう告げるまでの物語である。

──「ありがとう。わたしを、女として、ちゃんと終わらせてくれて。」
画像増やしました。本文中の絵はイメージです。必ずしも物語と合致しているとは限りません。

©2025hiromu

42 pages, Kindle Edition

Published August 6, 2025