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セーラームーン世代の社会論 [Seeraa Muun sedai no shakairon]

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「セーラームーン世代」とは、『美少女戦士セーラームーン』シリーズを少女期に観て熱狂した女性たちのことだ。主に、2015年現在で28歳前後の、いわゆる「アラサー」のことを指す。
そして、何より、セーラームーン世代はいま、社会の中核に位置している。
彼女たちの多くが、現在、結婚や出産などで大きなライフイベントに直面し、仕事との折りあいを中心とした決断を迫られている上、何かと話題にされがちである。まさに、セーラームーン世代は、「渦中の人」なのだ。本書は、そんな「セーラームーン世代」をとことん分析する本である。
特に、彼女たちを探る大きなカギとなる第2章では、シリーズごとの敵を見ていく。そうすることでセーラームーン世代の価値観を見出すことができるからだ。たとえば、もっとも視聴率が高かった『美少女戦士セーラームーンR』に出てきた「あやかしの四姉妹」を覚えているだろうか。登場したころのあやかしの四姉妹は、盤石の結束力を誇るセーラーチームとは正反対。化粧やファッションに互いにダメ出しし、任務においては足の引っ張りあいに終始する。セーラームーン世代は、「魅力的な女の子ほど、セーラーチームのように互いに助けあい、失敗もフォローしあう」というのをしっかりと刷り込まれているに違いない。
続く〈インターバル章〉では、各シリーズのエンディング曲を著者独自の視点で紐解いていく。
第3章では、女性観、友情の形、仕事への向きあい方など、セーラームーン世代なら納得せざるを得ないテーマばかりだ。なかでも、少女時代に好きだったセーラーチームのキャラクターによる性格分析はかなり的確……。
第4章は、ついに「月野うさぎ」に言及する。キーワードは「母性」だ。また、「のび太系男子」との関係にも迫っていく。
次の第5章は、『セーラームーン』の前後に登場した、女の子のロールモデルの変遷を紹介。森高千里や、ドラマ『東京ラブストーリー』のヒロイン・赤名リカ、SPEED、モーニング娘。などだ。
最終章では、少女アニメにおいてはタブーな「セクシャリティ」を見ていく。また、『セーラームーン』に込められていた「LGBT」の要素や、うさぎならでは、の恋愛観なども見所だ。

読後には、「『セーラームーン』ってこんなに深かったんだ……」と思わずにはいられないだろう。少女アニメだとあなどることなかれ。

224 pages, Paperback

First published May 23, 2015

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