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2002年、失業率は7%を超え、円が150円まで下落した日本経済を背景に、パキスタンで地雷処理に従事する16歳の少年「ナマムギ」の存在を引き金にして、日本の中学生80万人がいっせいに不登校を始める。彼らのネットワーク「ASUNARO」は、ベルギーのニュース配信会社と組んで巨額の資金を手にし、国際金融資本と闘い、やがて北海道で地域通貨を発行するまでに成長していく。
少年犯罪の凶悪化、学級崩壊など、さまざまな教育問題が噴出し、「学校」「文部省」「親」と責任の所在をたらい回しにする世間を尻目に、子どもたちは旧来の前提に縛られた大人の支えを必要としないことを立証する。『愛と幻想のファシズム』では、システムの破壊を目的とした狩猟社は、その過程で自身がシステム化していくという自己矛盾を抱え崩壊した。「ASUNARO」もまた崩壊の予感が示唆されているが、今回、著者はその手前であえて筆を置く。子どもたちには「希望」を与え、大人たちには「絶望」を突きつける。「ASUNARO」に拮抗するシステムを、今度は社会や大人たちの側が提示する番である。(中島正敏)
422 pages, Tankobon Hardcover
First published July 1, 2000