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たった一つの、私のものではない名前

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子どもの頃、ヘンテコな自分の名前があんまり好きじゃなかった。もっと、ふつうの名前だったらよかったのに、と思っていた。めぐみ、ひろこ、きよみ、ゆうこ‥‥‥友だちの名前が羨ましかった。ゆうじゅう、なんて名前はケッタイだ。名前だけじゃない。苗字も、なんか皆と違う気がしていた。おん、だなんて。(「たった一つの、私のものではない名前」より)


高学年になった私は、母親がちゃんとした日本語を話さないのに苛立つようになった。母の舌は、新しい言語を奏でるための音をつくるのには、既に、台湾のことばに親しみすぎていた。母の話す日本語は、外国人の話す日本語だった。私は、母のたどたどしい日本語を学校の友だちに聞かれるのが恥ずかしかった。(「たった一つの、私のものではない名前」より)



日本語を母語として習得した私の口腔器官は、日本語に支配されている。
この偉大なる支配者の懐をくすぐるのが、日本語で文学を志そうとする私の究極の目標であるといったら、可笑しいだろうか。
日本語が私の運命なら、私も日本語の運命となりたい。(「温の手記 2006 MAY」より)

35 pages, Kindle Edition

Published November 1, 2012

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About the author

温又柔

10 books
温又柔 おん・ゆうじゅう
1980年、台湾・台北市生まれ。3歳の時に家族と東京に引っ越し、台湾語混じりの中国語を話す両親のもとで育つ。
2009年、「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞。11年、『来福の家』(集英社、のち白水Uブックス)を刊行。13年、音楽家・小島ケイタニーラブと共に朗読と演奏によるコラボレーション活動〈言葉と音の往復書簡〉を開始。同年、ドキュメンタリー映画『異境の中の故郷――リービ英雄52年ぶりの台中再訪』(大川景子監督)に出演。15年、『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社)を刊行。同書で第64回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

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