改良

by 遠野遥

女になりたいのではない、「私」でありたい
ゆるやかな絶望を生きる男が唯一求めたのは、
美しくなることだった

選考委員・磯﨑憲一郎、斎藤美奈子、村田沙耶香、困惑、そして驚愕。
物議を醸すニヒリズムの極北、28歳の新たなる才能。第56回文藝賞受賞作。

メイクやコーディネイト、女性らしい仕草の研究……。
美しくなるために日々努力する大学生の私は、コールセンターのバイトで稼いだ金を、美容とデリヘルに費やしていた。
やがて私は他人に自分の女装した姿を見て欲しいと思うようになる。
美しさを他人に認められたい――唯一抱いたその望みが、性をめぐる理不尽な暴力とともに、絶望の頂へと私を導いてゆく。

120 pages, 単行本

Published November 14, 2019

Reviews

[BakaRena · Rating 4 out of 5]

結構同情ができる主人公だったが話の終わりが中々突然で結末は少し足りなかった。

[Qi · Rating 4 out of 5]

It is a book about resist and compromise. Even when "I" want to become pretty, resist to change the outfit and make up, but compromised by the society, even the one whom "I" think would understand and praise "me", or the one whom "I" never expected but treat "me" horribly.
All the experience is struggling with resist and compromise, in which "I" seems not care much, which is depressing the readers much more in a dark humor way.

[Emi · Rating 4 out of 5]

女になりたいわけではなくて美しくなりたいのであれば、女装ではない違う形もあるんじゃないかなと思ったけど、この主人公にとっては美しい女性が美しさの象徴なのかな？短くてあっという間に読めるけど、この短い話の中にすごくいろんなものが凝縮されている気がする。痛々しさを感じる。この本私はなんか好きだった。