前半の描写は丁寧で、華子の結婚に対する焦りや上京した美紀の違和感のそれぞれに共感できた。大学内部に存在する独特のヒエラルキーは自分も肌で感じ傷ついたことがあり、その後何年も後にブルデューの研究を知って初めて謎が解けたような気持ちになったことがある。その辺りの人間関係や美紀の心理描写は社会学に通じるところもあり、見事だと思った。
一方、たいして調べもせず美紀が大学をあっさり辞めてしまうところとか、新丸子でも家賃は十分高いのにその後麻布に引っ越すとか(到底若い女性ひとりの稼ぎで暮らせる場所ではない)細かい設定に気になるところがあったのと、前半と比較して後半は描写の荒さが目について感情移入できなかった。女性間の分断に鋭く切り込む美紀のセリフなど素晴らしい部分も多かったので、余計に結婚式での幸一郎の反応や華子の結婚後の生活や離婚までの経緯がさらっとしか描かれていなかったことが残念。
とはいえ、映像で見たらまた別の楽しみ方も出来そうなので、映画も見てみたい。キャストはイメージにぴったりだと思う。