Erika2,910 reviews88 followersFollowFollowOctober 17, 2020わたし、定時で帰ります。に続く、朱野帰子作品2作目。一作目が「仕事が結構できる女性」が主人公だったのに対して、この本の主人公は仕事ができない男性。本来だったらウジウジと自分の世界に閉じこもってる男性主人公の話はあまり楽しく読めないんだが、これは何故か読んでいて面白かった。が、「定時で〜」と同じで、スッキリする終わりではないし、主人公の未来だって別に明るくない。会社の人々だって、会社そのものだってドラマチックに変わるわけでもない。けれど、主人公の言葉の力でちょっとずつそれぞれの登場人物の考えや立場が明らかになっていく感じ、そして、全てに諦めモードだった主人公も少し自信をつける感じ、が自然に描かれていた。これがラノベだったらカタルシスな感じに…あ、最近読んだ「本日は、お日柄もよく」が、まさにそれだ。そして、「言葉の力」と言いながら、全くその力を感じられなかった。でもこの本は、「言葉の力」を感じる。それは、本編は「登場人物の名前は仮名のブログ記事」というスタイルで書かれているけれど、本編が終わったあと、最後に出てくる、「本名」で社史や社内報に載った記事、そして主人公がいい感じになった(?)相手での手紙を読むと感じる。これらの文章を読むと、登場人物が本編の中で言っていた台詞に納得がいく。(特に私は野良猫の記事がよかった。)これが↑「本日は、お日柄もよく」だったら、全く説得力のない文章になってたと思う。というわけで、何度も言うが、別にドラマチックな社内政治ドラマが繰り広げられるとか、正義が勝つ!とか、冴えない男が大成功する!とかいう話ではなく、どちらかというと地味で普通な登場人物達の出てくる、地味な話だけれど、リアルで、でも希望も持てて、ページを捲る手が止まらなかった。が、「また読みたい」かと言われると…そうでもない。というわけで、普通に面白かったので星3つ。