Erika2,861 reviews88 followersFollowFollowAugust 20, 2020「アズミ・ハルコは何故消えたのか?」を解き明かすミステリーではない。これは、生きづらい世の中でギリギリ生きている女子高生を含む女性たちが、お互いを支えあったり、お互い鬱憤を晴らしあったりする話だ。山内マリコ作品はあのこは貴族に続く2作目だけど、彼女の描く世界はすごくリアルだ。著者は地方出身なんだろうか、地方の閉塞感や「地元の友人達」の煩わしさもとてもリアルに描いている。(なので、リアルすぎてたまにしんどい)この作品も登場人物が全てリアルで、その為か、どの登場人物も素直に好きになれない。けれど、彼女達が置かれる理不尽な状況(職場でのセクハラ発言や、バツイチで育児する大変さ)が、嫌味なく淡々と描かれていて、自分のその場に一緒にいるような、自分も同じ体験をしたことがあるような気持ちにさせられる。題名の「アズミ・ハルコ」がなかなか登場しないのには困惑した。本作は3部に分かれているけれど、1部で成人式で再会した地元ヤンキー的な登場人物達が中心になっていて、「????」だった。(それと、「成人式で再会」もリアルでリアルで…私や私の親しい友人達は皆大学に通うタイプだったが、この登場人物たちは、私が中学在学中に怖いと思っているタイプの人々だった…ので、何とも言えない気分に。)やっと2部で「アズミ・ハルコ」こと安曇春子が登場するも、やはり話の内容はコンビニ人間 Konbini ningen 並みの鬱々とした感じ。3部で全ての話が繋がってある意味「大団円」を迎えるけれど、結局「少女ギャング団」に関しては、読者の解釈次第なのかな…という余韻。鬱屈とした女性達のフラストレーションが爆発して、女性同士で支え合おうっていうのが、この本の結論だろうか。うまく言えないけれど、嫌いではない。ただし、男性が読んだらどう思うのか知りたい。…けれど、考えてみれば、今まで「文学」では女性が同じように道具として物語に利用されることはよくあった。(心変わりした女性に振り回される男性、女性から男として見られない男性の歪んでいく心...etc.)。でも、男性主人公だと、暴力的な方向に物語が解決する傾向があるけれど(金閣寺 Kinkakuji とか)、この作品はそうではないのがいい。いや、少女ギャング団が男性をボコボコにしてるか。でも何故かな、胸がスカッとした。私は人生の中で、女性に暴力を振るう男性を間近に見てきたからかな。それとも、「男性が被害者になる、男性が恐怖におののく」というシチュエーションはファンタジーだからかな。色々考える本だった。とても読みやすいので、数時間で読み終わってしまった。でも、大好きな本!とかすぐ読み返したい!とは思わないので、星3.5つ。east-asian