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422 pages, Paperback Bunko
First published March 13, 1999
森博嗣のS&Mシリーズ第2作目にあたる『冷たい密室と博士たち』は、金属のような冷気を放つ論理と理系ミステリの魅力が詰まった一冊です。本作の探偵役である犀川教授は、犯罪の動機や人間の感情には無頓着で、密室トリックをまるで「純粋な数学の難問」のように解き明かしていく徹底した「思考機械」です。そんな彼を急かし、卓越した観察眼と行動力で情報を集めるお嬢様学生・西之園萌絵とのコンビネーションが、この冷徹な物語に絶妙な推進力と面白さを与えています。
実は前作『すべてがFになる』よりも先に初稿が書かれていた本作ですが、ミステリとしては読者に「自分にも自力で解けるかもしれない」と思わせる適度な難易度が特徴です。到底手が出せない難問よりも、読者の挑戦意欲を熱く刺激し、傲慢なまでにクールな探偵と一緒に謎解きへと没入させてくれます。
本作の最大の魅力は、最後のページを閉じた後、思わずもう一度本を開いて読み返したくなる引力があることです。すべての真相を知ってから振り返ると、窓のない準備室や構造図に隠された意図、そして犯人の心理状態を暗示する伏線が、いかにテキスト内に巧みに散りばめられていたかに気づかされるはずです。理系の知性が生み出した冷たくも美しい論理のパズルを、ぜひ堪能してみてください。(星3.5評価)